こんばんは。あかねです。
引き続き発達心理学を勉強しております。今回は様々な論を紹介しつつ、発達の要因についてまとめていきたいと思います。

発達の要因は遺伝か環境か
Q. 発達は遺伝と環境どちらによって規定されるのか?
A. 遺伝と環境の相互作用によって発達が生じます。
現代においてはどちらか一方によって発達するという考え方は基本的にされていません。両方の相互作用によって発達が生じると言われています。
発達の要因に関する論
(1)環境優位説
提唱者:ワトソン
「人間の発達は環境と経験によって決まる」
ワトソンはロックの影響を受けた行動主義者です。よって、「どのような刺激を与えれば、どのような反応をするのか」という行動の形成を説明することが出来るとしています。大人の抱く不安や恐怖が形成されるのは幼少期の経験によるものとも述べています。(アルバートの実験)恐怖も訓練(経験)次第ということになります。
(2)成熟優位説
提唱者:ゲゼル
「環境だけでは能力を発現させることは出来ない。基礎が整った成熟状態(レディネス)に達しなければ訓練に意味はない」
ワトソンの環境優位説を批判しています。一卵性双生児の階段のぼりの検証において、成熟状態(レディネス)についてふれています。階段上りの訓練を受けた赤ちゃん(A)と訓練を受けていない(B)では、最初こそ成績に差はあったが、成熟状態に達しているであろう週以降、Bに訓練を受けさせたところ、最終的に差はありませんでした。このことから成熟優位説を説いています。
ただし、成熟状態(レディネス)に達すれば何でも出来るようになるわけではありません。階段上りにおいては日常生活において必要な能力が日々向上した上の訓練も含めた成果になります。時期を待てば発達するのではなく、日常生活等で能力は培われていきます。
(3)輻輳説(ふくそうせつ)
提唱者:シュテルン
「遺伝か環境のどちらか一方ではない。形質によって寄与する割合は違うが、必ず両方関わっている」
輻輳説の場合は、遺伝と環境の加算として考えているため 、相互に影響を与えているという視点に欠けています。
(4)相互作用説
提唱者:サメロフ
「相互に影響しあう」
発達は、可塑的であり、相互に影響を与えては変化を繰り返します。
環境要因が子どもに影響を与えると子どもは変化し、変化した子どもは環境要因にも影響を与えます。その後もお互いにこれまでとは異なった影響を与えながら、互いに変化していくことを繰り返します。相互作用の生じる時期には個体差がありますが、どの時期に影響を受けたかによって特徴は変わるようです。
発達と初期経験とインプリティング
初期経験とは、発達初期の特定の限られた期間(臨界期)に与えられ、発達に影響を及ぼした経験のことです。中でも、インプリティング(刻印づけ)は種の社会化に関わる初期経験と言えます。子どもの特徴ではなく、ヒト、鳥、オオカミといった種の特徴が刷り込まれます。インプリティングはローレンツによって広く知られることになりました。ローレンツはインプリティングについて、以下のような特徴を上げています。
①臨界期の存在
②不可逆性
③成育後の配偶者選択への影響
鳥が研究対象とされていますが、臨界期を過ぎると鳥の赤ちゃんはインプリティングを起こしにくくなり、2日後には完全に出来なくなります。それでも臨界期の間であれば、どのような対象にもインプリティングを起こすことも分かっています。(特徴①)
これには不可逆性がみられ、生涯を通して保たれるようです。(特徴②)
しかし、成育後、配偶者として選択する対象はインプリティングした相手と同種です。例えば、カモの赤ちゃんが人間に対してインプリティングしたとすると、求愛をする相手も人間になります。(特徴③)不可逆性というのは消去や転移が非常に難しく、発達に非常に大きな影響を及ぼすことになります。
インプリティングは通常、ガン、カモ、ニワトリなどのような離巣性の鳥類のヒナにみられるものです。しかし、研究を重ねていくうちに、様々な種にインプリティングと似たような行動がみられることが分かりました。ヒトの場合は乳児の微笑がそれに近いと説く声もあります。
初期経験に関する実証的研究
フロイトは「精神分析理論」から、幼少期の経験、特に外傷経験がその後のパーソナリティの形成にかかわると述べました。初期経験に関する実証的研究のもと以下のような影響がみられました。
①刺激作用を受ける時期によって影響の仕方が異なる。(胎児期含め)
②感覚刺激を剥奪すると、細胞が正常に機能せず、認識できなくなる。
人間の場合は6歳頃までが敏感期とされており、その間に感覚刺激を剥奪すると異常がみられる可能性があります。
③社会的刺激の剥奪をすると、愛着行動、養育行動、仲間との遊びや攻撃に影響
サルなどの集団や社会を形成する動物は、同種の他個体との関りを通して種に必要な行動様式を形成します。しかし、リハビリを行うことにより、異常行動に回復傾向がみられたようです。
①~③のような経験によって個体に体制が出来ます。人間についても似たようなことが起こりえます。
「アヴェロンの野生児」や「狼に育てられた子」についてご存じでしょうか。これは人間の発達が阻害された事例です。どちらも幼いうちに野生児となり、後に保護されます。保護された当初は、言語能力や人間としての基本行動に欠けていました。医者や孤児院の管理下のもと、しだいに野生的な行動を忘れ、人間的な行動をとるようになります。人間の発達の可塑性を垣間見れる事例でもあります。
人間の発達の可塑性
可塑性とは、変化させてから力を加え続けなくても形を保ち続けることが出来ることをいいます。人間の発達の可塑性というのは野生児の事例から整理します。
野生児の事例の場合、一度人間とは離れた発達の道をたどってしまいます。言語能力がなかったり、2足歩行ではなかったりです。インプリティングのカモの例では、カモは人間にインプリティングをすると人間に求愛するなど、ヒトを同種として扱いますが、それを改善することは出来ません。これが不可逆性になります。
野生児の場合は違いました。他のヒトと比べると劣っていたり、時間を要しましたが、言語を話すことが出来、人間的な行動をとれるようになりました。これが人間の発達の可塑性です。
他の種と比べると、ある程度矯正することが出来ます。可塑性に関しては粘土に例えられることが多いです。粘土は一度形を変えると、力を加え続けなくてもその形を維持することが出来ます。その後にまた形を変えることもできます。
参考文献
『子どもの発達心理学』1993年2月10日
著者:高橋道子 藤崎眞知代 仲真紀子 野田幸江
発行所:株式会社新曜社
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お読み頂きありがとうございます。
あかね
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