【発達心理学】言語能力が未発達の乳児期は「もの」を視覚などの五感によって認識する

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こんばんは。あかねです。
発達心理学について学んだことをまとめていきたいと思います。
この記事には、乳児期の赤ちゃんの視覚情報の重要性について書かれています。

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乳児期の学習方法

生得的準備構造

 赤ちゃんは、生まれた時点で既に学習しやすいような状態が整っています。母国語を習得しやすいのは、赤ちゃんが生得的だからといえます。しかし、だれでも言語の発達が確約されているわけではありません。いくら学習の準備が整っていても、赤ちゃんには自力で学習をすることは出来ません。人との関係が築かれる場において、有用な刺激を受けることで、学習が容易になります。赤ちゃんには人との関係が必要不可欠になります。

乳児は何から学ぶのか?

 Q. 乳児はまだ言語機能が発達していません。では、どのようにして周りの世界を知っていくのでしょうか。

 A. 乳児は五感(視・聴・味・嗅・触覚)を使ってものを認知します。

 乳児には五感が生まれた時に既に準備されています。言語機能が未発達な分、視て、聴いて、食べて、嗅いで、触って「もの」を判断することになります。

乳児期の視覚能力

 乳児は五感によって「もの」を認識すると書きましたが、今回は特に視覚に焦点を当てたいと思います。

乳児期の視覚の特徴

・情報量の多さや変化、新しさに注意が向きやすい(選好注視法:ファンツ)
→刺激を積極的に選択している

・視力は月を追うごとに良くなり、3~5歳でほぼ成人並みになる。
→6か月頃までは遠くのものへの調節が上手く出来ません。30㎝前後が最もよく見えるようです。この距離は、母親が子どもを腕に抱いて、目と目が合う距離だそうです。

・2か月を過ぎると奥行の知覚が可能。しかし、奥行に潜む危険を認知するには時間がかかる。(約7か月)
→7か月はハイハイ開始のおおよその時期です。ハイハイを開始する前に奥行きについて学習し、視覚の発達と認識を深めています。ハイハイを始めた乳児はこれまでとは違い、自ら移動が出来ます。その前に「危険」から身を守るために学んでいることになります。

視覚による発達

 特徴でも書きましたが、乳児の視線は情報量の多さや変化、新しさに注意が向きやすい傾向があります。しかし、ただ情報量の多いものを見せれば良いというわけではありません。これにも段階があり、乳児の発達の状況によって興味を示すものは異なります。出生後数週の赤ちゃんよりも週数が経過した赤ちゃんの方が複雑な視覚情報を求めます。

 見ることを経験することで、より細かい部分までみることにつながるのです。最初から複雑なものではなく、赤ちゃんが興味を示したものから徐々にステップアップすることで、赤ちゃんにとって良い経験を積むことが出来ます。その環境を作るのは養育者となります。

 乳児は言語機能が発達していないため、五感を使って「もの」を認知します。その五感は生まれつき持っているものですが、自主的に経験を積むことは出来ません。乳児がそのような経験・刺激を受けることが出来るのかはすべて養育者にかかっています。乳児と「もの」をつなぐ環境は養育者がつくります。養育者は乳児にとっての環境要因になることは重要です。

乳児の「もの」の捉え方

 乳児期における認知過程は「感覚ー運動的知能」であるとピアジェが述べています。先述したように、乳児は知覚的な性質でものを認識しています。そのため、「目で見ることの出来ない特性を理解することは困難なのでは?」と言われてきました。しかし、近年、「おとなと乳児の認識は本当に異なっているのだろうか?」という疑問の声があがるようになります。

馴化 … 同じ刺激を繰り返し乳児に示すと、慣れが生じて反応が低下する。
脱馴化 … 馴化してから、新しい刺激を示すと反応が回復する。

 乳児は見慣れた刺激よりも新しい刺激を好みますが、馴化と脱馴化という反応も確認されています。この2つを活用して様々な実験が行われました。その実験結果からスペルキは以下の4つの特徴をあげました。

①凝集性
「もの」が動くときは形を崩すことはない。形を保つ。

②境界性
「もの」は区別できるよう動くため、「もの」と「もの」が混ざることはない。

③個体性
「もの」は他の「もの」を通り抜けることはできない。

④空間時間的連続性
「もの」は、空間的・時間的に連続して動く

 「もの」の運動を通した実験結果から、乳児の対象概念の認識が上記によって支えられているとしました。

 感覚器官の領域が違うことは時間経過とともに受け入れると言われています。乳児は感覚様相感の協応(異なる感覚器官からの情報を、1つの事象からの情報として統合させる)が出来るようになっていきます。

乳児の記憶能力

 乳児は早くから記憶能力を持っています。それだけではなく、生後半年以降はカテゴリー化も出来るようになっていきます。女性と男性をカテゴリー化して分けることもできるようです。乳児の人と関わる時の基礎となる認知能力の一つといえます。

参考文献
『子どもの発達心理学』1993年2月10日
著者:高橋道子 藤崎眞知代 仲真紀子 野田幸江
発行所:株式会社新曜社

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